「ビレッジプラザ・ウッドリターン・アイデアコンペティション2021」の入選作品が決定いたしました。

2021/12/20

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20211220
公益社団法人 国際観光施設協会 アイデアコンペ運営事務局

最優秀賞は株式会社日本設計 吉岡紘介氏、佐々木賢太氏 提案による「Colorful Pallet」に決定。
2022年1月11日に行われる協会主催の賀詞交歓会にて最優秀賞および優秀賞3作品の表彰式が行われます。

「ビレッジプラザ・ウッドリターン・アイデアコンペティション2021」の概要
東京オリンピック・パラリンピック2020の選手村に設置されたビレッジ・プラザは
全国63の自治体より構成木材の提供を受け施工された建物で、会期終了後そのレガシーを受け継ぎ提供された木材を各自治体へ戻す
「ウッド・リターン・プロジェクト」というサスティナブルな事業となっていました。一方で会期の1年延長、提供木材の経年変化も
加わり各自治体での再活用の気運が下がる傾向も見えてきました。当協会では10年ほど前より観光施設にもっと国内産の木材を活用
しようという「木づかい運動」を推進しており、今回この事業に共感し、協会内の「木づかい活動」の一環として協会会員に広く
アイデアを求めるコンペティションを開催いたしました。

 

応募要項発表:20219月初旬

▪応募登録/質疑議締め切り:2021108日(その後1112日まで延長)

▪応募締め切り:20211130日、 ▪応募総数:41作品

▪選考会:同年122日 選考委員、協会より鈴木会長、涌井副会長、大内副会長、

浅野副会長、野出木副会長、協会外より岐阜県林政部 高井部長、福島県木材協同組合

連合会 宗形顧問(事前投票)の7名により厳正に選考・協議が行われました。

▪選考結果: (添付画像参照)

最優秀賞:「Colorful pallet」 株式会社日本設計 吉岡 紘介 氏、佐々木 賢太 氏

優秀賞 :「Smart Bench」 LASCAL株式会社 高橋 尚史 氏 他1名

同 :「記憶のやどり木」清水建設株式会社 入部 寛 氏、小野 智也 氏、山下 麟太郎 氏

同 :「Tokyo Ark 東京方舟」株式会社三菱地所設計 佐藤 琢也 氏、桐澤   航 氏、糟谷 麻紘 氏  MEC Industry株式会社/株式会社三菱地所設計 海老澤 渉 氏

  このほかに 奨励賞:7作品、入選:15作品 を選出しました。

▪表彰式: 20221111100~ 国際観光施設協会 賀詞交歓会後半にて開催

      会場:ホテルメトロポリタンエドモント 1階クリスタルホールにて

▪今後の広報活動:2022217日 12001320 東京ビッグサイトで開催される国際ホテル・レストランショー、
当協会ホテル都市分科会の「木づかい活動」チームのメインレクチャーにて、上位賞の受賞者による作品説明、
および最優秀賞の模型展示などを予定しています。
会場:東京ビッグサイト、当協会展示エリア内センタープラザにて

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2021ウッドリターンアイデアコンペ選考結果について

全体講評
 COVIT19に苦しみながらも開催された2020東京オリンピック。
その選手村のゲート近くに選手の日常生活を支える「ビレッジプラザ」は、日本全国の地方自治体から寄せられた木材を活用して
作られた施設であった。そして閉会後には再びそれらの材は各々の産地に戻るという仕組み。英建築専門ウェブメディア「Dezeen
をはじめとし多くの外国メディアは、選手村内のこの木造建築物の特集組むほど関心を寄せてくれた。まさに日本独自の木材活用リレー
であり、日本に根付いていた伝統的サーキュラーエコノミーの現代的社会実装であったからに他ならない。

 そこでそもそもが木材活用リレーの企画推進者でもあった我が協会としては、より良いリターンの方策としてどのような利活用策で
里帰りを成功させるのかについて、そのアイデアを公募しコンペに掛け、このプロジェクトの完結とレガシー化を望んだという訳である。

  結果は何と41名の応募者を数えた。ベンチや四阿といった休息施設や、彫刻的遊具、都市インフラの一部など多岐に及ぶアイデアが
提示され、こうした活用策があったのかと、選考以前に審査員それぞれが改めて学ぶ場もあったほどである。

 しかしすべての応募作品にある種の共通解が見て取れることに着目をしたい。それは部材を日本の伝統でもあるモデュロールと考え
なるべくその基準寸法を活かして再生するという考え方である。まさにこれから我々が心しなければならないサーキュラーエコノミー
そのものを実装しようと考えた応募作品に彩られていたという点である。中には一度の再生ではなく、空間を移動させ何回も組み立て
再使用しようとするアイデアもあり、これからの観光施設の課題である地場性、サーキュラーエコノミーに加えてシェアリングエコノ
ミーの発想までが散りばめられていたことに大いに感動した。                                                                  (涌井 史郎)


各賞の選評 

最優秀賞 「Colorful Pallet」 選評
大変な力作揃いの中での審査はワクワクする大変貴重な時間であった。その中でもColorful Pallet は群を抜いたアイデアと完成度の
高さを持つだけでなく、オリンピックで使用した木材を必要なものへと組み換え使い続けるというコンセプトはまさに2020オリン
ピックレガシーとして相応しいものだと評価された。母材とつづり材を910mmモデュールの単位ユニットとして組み合わせること
でベンチから観覧席、さらにフェーズフリーな非常時シェルターまで専門技術なしに作成可能なシステムは、日本伝統の木の文化を
踏襲発展させたコンテンポラリー木組である。

優秀賞 「Smart Bench」 選評
優秀賞となった「SMART BENCH」は、ビレッジプラザで使われた木材の寸法を活かし、シンプルな構造であるが、金物を活用し
可動式とすることで、色々なタイプのベンチやテーブルへの変形ができ、また、コンパクトに収納ができることなど機能性に優れた作品
である。さらに、シンプルなデザインの中にも安全面と強度への工夫があり、単体や組み合わせであらゆるシーンにおしゃれな空間を
演出できる、まさにスマートベンチであると評価する。しかし、可搬式としての重量が気になるほか、並べた部材の変形防止や自立に
対する工夫が必要だが、オリンピック・パラリンピックのレガシーとしての活用に有効な提案であると思われる。

優秀賞 「記憶のやどり木」 選評
優秀賞となった「記憶のやどり木」は、ビレッジプラザの規格材を仮設のイベント施設などに再構築し、それを各地に展開する事で
オリンピック2020のレガシーを目指す内容であり、他の多くの応募案にも通じる提案である。その中でもこの案は、オリンピック
エンブレムの形から導き出された台形ユニットの組み合わせが、「囲み」など場所や状況に応じて様々な形で展開できる事、小さな単位
でも展開できる事、また材の交換による継続性やQRコードによるレガシーの継承など観光施設に応用できるソフト面の提案もあり、
特色のある内容となっている。技術的には具体的な解説は無いが十分に実現性が高いと判断でき、優秀賞に相応しい提案として評価された。

 優秀賞 「Tokyo Ark 東京方舟」 選評
Tokyo ARK 東京方舟」は、自治体からの提供木材がオリパラ開催地東京に留まり、防災船着場のプラットフォームに姿を変え、
かつて生活に潤いを与えていた水辺環境と水上交通を都民に取り戻すことをオリンピックレガシーとした木材循環利用の提案である。
モジュール(2.7m立法マルチユニット)を生かした再生は可変性・汎用性を有していること、防災船着場整備計画が抱える課題に対し
フェーズフリーな施設とすることで解決を図っていること、さらに当協会が研究対象としている「水辺観光」の将来像の一端を担う
可能性を示唆していること等が評価され、優秀賞に選出された。 

奨励賞・入選作 選評
選考委員による投票は、各委員10点の持ち点から3/1作品を優秀賞に、残りを2点または1点にて評価作品に投じ、使い切る方法が
とられた。結果6点以上の得票を得たものは優秀賞以上4作品となり、41点の得票を得た作品22点が入選作に選ばれた。その中で
何らかの特徴のある評価すべき作品7点が奨励賞として選出した。特に時間軸での活用維持を提案した「里山レガシーゲート」、
戻るプロセスをデザインした「旅するキッチンカー」、木材資産の貯蓄・運用に着目した「TOKYO WOOD BANK
」は他の作品に無い
着眼点を提供していた。      


(選考委員:鈴木  裕、高井峰好、大内政男、浅野一行、野出木貴夫)

        

 

 

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